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≪品木ダム インプレッション≫
国土交通省直轄ダムですが、ダム本体はほとんど眺望がきかないです。天端の端からわずかにのぞくことはできますが、正面からの姿はダムカード等でしか見ることはできません。ダムの役割についても珍しい役割を持ったダムなので、十分に予習をした上でダムを訪れることをお勧めします。 |
≪品木ダム ポイント≫
【中和】 品木ダムの辺りを流れる川は、元々強い酸性でした。このままでは下流の灌漑用水にも上水道としても使いづらく、鉄やコンクリートの構造物を河川に使えません。そこで品木ダムの上流では24時間365日、河川の水を中和させるための石灰ミルクを川に流しています。品木ダムの役割は二つあります。一つは水をせき止めることで中和を促進すること、もう一つは中和してできた物を沈殿させることです。つまり堆砂が目的のダムとも言えます。底にたまったものは定期的に浚渫して、脱水処理された後に土捨て場へと運ばれます。 |
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写真は天端から上流側をながめたものです。右岸側には取水設備があり、表層の水を取水して湯川発電所へと流されます。ダム本堤はゲートが二門、うち一門はフラップを内蔵。放流管も備えているようですが、おそらく発電所が止まっているときの代替放流用だと思われます。(画像をクリックすると拡大されます) |
ダム直下の様子。すぐに左に折れ曲がっているので下流には山しか見えません。直下に降りることもできないので正面から望むことは難しいです。ゲートはあるものの大雨でも降らない限り品木ダムから放流されることはありません。 |
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ダム管理所。最近出来上がったようで、まだまだ新しいです。普段は無人のようで人の気配が全くありません。ダムの定期検査か、放流時ぐらいしか人が来ないのかもしれないです。 |
ダム左岸側からみたダム湖。山の上にあるのが脱水処理工場。浚渫した土砂はポンプで工場にくみ上げられて工場で脱水されます。その後に土捨て場へと運ばれます。某ニュースにあった品木ダムの湖底にヒ素が堆積されているとされる問題ですが、残念ながらPR施設では情報が得られませんでした。いずれにしても品木ダムによってヒ素がある程度下流に流れないように食い止められているのでしょう。 |
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湯川発電所。残念ながら水圧鉄管もサージタンクも確認できませんでした。地中に埋もれていて見えないのかもしれません。最大水量は毎秒4.5立米、最大落差が213m、最大出力は8,200kwです。中和されていないと間違いなく発電設備はぼろぼろになります。 |
品木ダムの断面。堆砂容量と中和沈殿物容量と何が違うのかよく分かりませんが、すでに堆砂率は8割を超えているので、堆砂容量はすでに使い切っていることは間違いありません。(画像をクリックすると拡大されます) |
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品木ダム水質管理所。品木ダムから少し離れた草津温泉の一角にあります。ダムカードはここでもらえるかと思っていましたが、ここでもありませんでした。PR施設の一角にある百年石製作小屋で配布されています。 |
円筒形の構造物がサイロ。3台のサイロにはそれぞれ石灰が入っています。その日のpH値によって石灰を落とす量が決まっています。サイロの下には川の水を引き入れた用水管があり、サイロから落とされた石灰は用水管で水と混ざって、それが湯川に落とされます。ちなみに石灰は群馬県南牧村産のようです。 |
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湯川の中に釘を入れたときの腐食の様子を表しています。わずか10日でくぎはほとんど原型をとどめないほど腐食されます。当然のことながら酸性の湯川には鉄を用いた河川工作物は作れません。 |
こちらは湯川の中にコンクリートの塊を入れたときの様子です。当然のことながら酸性の湯川にはコンクリートの橋を作ることはできません。 |
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PR施設の一角に中和前の湯川に下りられる場所があります。リトマス試験紙ももらえますので、ここで川のpHを調べることができます。サイロから流れてきた石灰水の一部も流れ込んでいるので、中和前の湯川と中和したあとの湯川をそれぞれリトマス試験紙で確かめることができます。 |
ちなみにこれが中和後の湯川の様子。石灰によって白く濁っています。この水が品木ダムへと流れ込んでいきます。 |
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これが湯川に石灰が流されていく様子。1964年以来、24時間365日休むことなくずっと続けられています。 |