ダム名 石門ダム (いしもんだむ)
形 式 ロックフィル 大漢溪にかかるダム
所 在 桃園県龍潭郷住安村佳安路2号 地 図
目 的 灌漑、発電、上水道、工業用水、洪水調節 管理 中華民国経済部水利署
印象(5段階) 眺望(5段階) 観光(5段階) 交通(3段階) 堤 体 積 7,060,000 m3
☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆ 総貯水容量 m3
着工年 1956年 堤 高 133.0 m 有効貯水容量 233,000,000 m3
竣工年 1964年 堤頂長 360.0 m 体 積 能 力
着工→竣工期間 8年 縦横比 2.71 体積有効能力
関連リンク 日本ダム協会 ダム便覧”石門ダム”  中華民国経済部水利署北区水資源局

上記表は日本ダム協会のホームページにある”ダム便覧”を参考に作成されています。
縦横比=堤頂長/堤高 この数値が大きいほど横長です。1より小さいと、いわゆる縦長ダムです。
体積能力=総貯水容量/堤体積 1m3の堤体材料でどれだけの水を支えているかを表す数値です。
                       この数値が大きいほど、少ない堤体材料で多くの水を支えていることになります。
                       体積有効能力は有効貯水容量で割った数値です。
縦横比、体積能力、体積有効能力は私の個人的な興味で割り出した数値であり、土木の世界で使われているものではありません。
着工→竣工期間は着工、竣工年の単純な引き算しかしていません。着工、竣工ともに年度での数値なので実際の期間とは誤差があります。


≪石門ダムのある町の紹介&ダムまでの道≫
 桃園県は台湾の北西部に位置する県です。台湾国桃園際空港があり、また台北市からも近い場所にあります。工業団地が多く、日本の企業も多く入っています。
 石門ダムへは高速道路3号線の龍潭で降りて南進します。随所に案内看板がありますし、ダムの規模もかなり大きいので何とかたどり着けると思います。ダム手前に屋台が並ぶ場所もありますが、そこからダムまではかなり歩くので要注意です。中歴のバス停からも石門ダム行きのバスも一日7本から10本程度出ています。石門ダムには自動車で入る場合は200円ほどかかります。料金所手前に止めて歩いても良いのですが、かなりの距離を歩くことになります。


≪石門ダム インプレッション≫
 ダム本堤と洪水吐が完全に離れた場所にあるロックフィルダムです。日本のダムで似たようなものは牧尾ダムが一番近いです。牧尾ダムのあらゆる部分を一回り大きく、それも開けた広い場所に作ったような感じです。(画像をクリックすると拡大されます)
≪石門ダム ポイント≫
【クレスト洪水吐】重力式ダムと見間違うほどの立派なクレスト洪水吐があります。ここを訪れる人の大半はこちらがダムだと思われても仕方が無いでしょう。放流はスキージャンプ式で、水は一度空に放り出された後に下流の逆調整池めがけてダイナミックに落下します。


 ダムの右岸側からの風景。ダム本堤の真下に石門発電所があります。発電所の左側にある緑のネットで覆われているのが、現在新設工事中の排砂設備だと思われます。そのまたすぐ脇にも放流設備が見えますがこちらは不明。発電所停止中に送水する設備と推測します。写真中央やや右手にも放流設備がありますが、こちらには自来水退水路儀控室と書いてありました。自来水は水道のことなので、水道設備の一つでしょう。また右岸側にはトンネル式洪水吐があります。(画像をクリックすると拡大されます)
 こちらが石門ダムの本堤。普通のロックフィルダムですが、高さが130mもあります。日本では御母衣ダムと同規模です。本堤直下にある建物は石門発電所の建屋です。

 石門ダム直下の逆調整池。写真左側が下流方向で、逆調整池をせき止める後池堰が見えます。写真の中央にあるのはトンネル式の洪水吐です。本堤脇にある洪水吐から放流された水はちょうど撮影場所の目の前あたりに着水するようです。(画像をクリックすると拡大されます)
 クレスト洪水吐の直下。普通の道路になっており自動車も歩行者も放流さえしていなければ通行することが可能です。写真の中央には自動車が写っていますが、洪水吐の大きさを知る一助になればと思い写し入れました。

 クレスト洪水吐のパノラマ写真。手前に比較対象が何もないために大きさを実感しにくい写真になってしまったのは残念ですが、この感覚は日本のダムではまず味わうことができない貴重な感覚です。このダムに来たら必ず抑えて欲しいポイントです。(画像をクリックすると拡大されます)
 ダム本堤を別の角度から。緑のネットが掛けられた建設中の建物は石門ダムの排砂放流設備のようです。

 石門ダムは天端からダム直下まで歩いて1周することができます。右岸側の遊歩道の途中からは、この写真の角度でクレスト洪水吐を見ることができます。洪水吐のすぐ右手にある地山の上は展望台になっています。
 右岸側遊歩道を登り切ったところにある売店。名産と思しき魚料理を扱うレストランもあります。コンビニのような売店もあり、ここで水分補給もできます。

 クレスト洪水吐から見た下流側のパノラマ写真。日本ではこれだけの規模はなかなか見られない、開かれた下流側の風景です。(画像をクリックすると拡大されます)
 後池堰が見えます。石門ダムから下流側は比較的なだらかな地形をしています。

 クレスト洪水吐はスキージャンプ式になっていて逆調整池の中央よりやや左岸側あたりに着水するようになっています。日本ではこれだけの規模のスキージャンプ式は珍しいのですが海外ではこちらの形式の方が多いようです。
 天端中央の展望台から見た洪水吐の風景。ゆるやかな曲線を描いており風景に彩りを与えてくれるお気に入りの一枚です。贅沢を言えば、もう少しまともなカメラとまともなレンズでとっておきたかったと真剣に後悔した一枚でもあります。

 天端中央の展望台から見た上流側のパノラマ写真。本川は左側に迂回しています。この川はこのダムを境に上流側と下流側で大きく風景が変わるような印象を受けました。(画像をクリックすると拡大されます)
 天端中央の展望台から見たダムの本堤側。天端右岸側に緑色の巨大な箱が置いてあり、そこから黒い鉄管が通っています。緊急時にポンプで組み上げた水を貯めるための設備だそうです。2004年に台湾を襲った台風によりあまりにもダム湖の濁水がひどかったために急遽建設し、表面の濁りの少ない水をくみ上げて浄水場へと送水していたようです。

 緊急抽水設備のアップ。石門水庫抽水系統と書かれています。壁面には、かなりゆるい落書きが書かれており、妙に親しまれているような感じでした。
 使いものにならなくなった取水設備のスクリーンが飾られていました。土砂や木の流入だけで変形、破壊されたようなことが看板に書いてありました(中国語に明るくないので推測です)。驚いたのは工事内容や壊れた原因などがきちんと看板に書かれて、観光客に見えるように置いてあったところです。

 ダム本堤の上流側。日本のロックフィルダムダムと比較しても石の積み方が雑で汚らしく見えますが、これによって洪水時の水位上昇スピードが遅くなることや、地震のときにも石のバラツキ部分で揺れを吸収して地震の被害を減らすことにつながるそうです。汚く積んだ方がダムの目的には叶っているとのことです。
 緊急抽水設備の別の角度の写真。壁に穴が空いていますが、ここにホースを入れてポンプで抽水するようです。実際にこの設備が稼働したときの写真が資料館にありますが、この付近一帯がホースでいっぱいになるような状況です。


 本堤の天端の写真。緊急抽水系統の鉄管があるために下流側の眺望は悪いです。下流から見上げてもわかりませんでしたが、本堤もゆるやかなアーチを抱いています。
 依山閣とも呼ばれる石門ダムの資料館。本堤の左岸側にあります。展示してあるのは一階だけですが建設中の資料、緊急抽水系統の使用された時の写真、台風でダム設備が被災した時の写真など、貴重な資料が展示されています。パンフレットは日本語版もありますが、ダムについて一番詳しいのは英語版です。

 本堤右岸側の慰霊碑と展望台。こちらの展望台からは本堤と洪水吐を一度に見ることができます。展望台はロータリークラブの建設したもののようで、台の部分のデザインがエンブレムをそのまま体現したようです。

 左岸側慰霊碑付近から見たダムと下流側のパノラマ写真。緊急抽水系統の黒い鉄管はダムを緩やかに下っていきます。(画像をクリックすると拡大されます)


 右岸側ロータリークラブの展望台からの眺め。慰霊碑の高さからでは本堤も洪水吐も見渡すことはできませんが、この高さならば見渡すことができます。慰霊碑周辺もきれいに整備されています。
 石門ダムの上流側から見たダム湖。写真の右手奥に石門ダムが見えます。写真の右隅の方に、山で少しだけ緑が薄い部分がありますが、ここがトンネル式洪水吐の取水部分だと思われます。網場が見当たらないのが不思議でした。(画像をクリックすると拡大されます)

 ダム下流の右岸側にはトンネル式の洪水吐が別途設置されています。ダム建設当初は無かったようです。クレスト洪水吐の位置よりも低い位置にトンエル洪水吐の取水口があります。台風の時などあらかじめダム湖の水位を下げる場合にこちらのトンネル式洪水吐が使われるようです。
 後池堰を横から見たパノラマ写真。自由越流式ですが、左岸側にはゲートがあり、放流量をコントロールすることができます。下流側には橋が掛かっており、ここからのダムの眺めも一興です。(画像をクリックすると拡大されます)

 後池堰の上流側のパノラマ写真。堰の左岸側には取水口が見えていて、ここから桃園大シュウ(灌漑水路)が始まります。この水路は烏山頭ダム技師でもある八田與一氏が設計に携わっているそうです。(画像をクリックすると拡大されます)
 後池堰下流に架かる橋からは後池堰と石門ダムを一度にみることができます。 交通量も多いので十分に車に注意された上で撮影されることをすすめます。(画像をクリックすると拡大されます)


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